社内恋愛のススメ
その日は、いつも以上に精を出して、仕事に励んだ。
体調が戻ったせいか、体が軽い。
頭の回転も、いつもよりも早くて冴えている。
「有沢ー、今、仕事詰まってる?」
「詰まってるけど、余裕あるよ。長友くん、どうしたの?」
「これ、企画書作るの、手伝ってくんない?」
「いいよー。コーヒー1本で手を打つよ!」
「………、しょうがねぇな。」
手が空いたら、他の人を助けて。
仕事を休んでいた分、同僚には迷惑をかけている。
だから、手伝えることは手伝ってあげたい。
出来ることはしてあげたい。
張り切っていたせいか、終業時間前に仕事は終わってしまって。
軽くトイレでメイクを直してから、会社を出た。
カラン。
古びた喫茶店のドアを開ければ、軽やかな鈴の音が店内に響く。
ここは、私のお気に入りの店。
駅前にあるけれど、大通りからは1本奥に入った路地にあるせいで、あまり人には知られていない店なのだ。
隠れ家みたいな雰囲気がある店だと、私は勝手にそう思ってる。
アンティーク調の家具に囲まれた店内。
深いブラウンが、店の雰囲気とよく合っている。
食器も綺麗に磨かれているけれど、どこか古めかしくて。
落ち着いたこの場所は、今日みたいな話をするのに最適な場所。
だからこそ、ここに上条さんを呼び出した。
ここなら、会社の人も知らない。
人目を気にする必要もない。