社内恋愛のススメ
「お待たせ、実和。」
2人きりの時だけの呼び方で、私を呼ぶ上条さん。
上条さん。
私が、これからどんな話をしようとしているのか………分かってる?
私。
私は。
あなたに、言わなければならないことがある。
あなたに、聞かなければならないことがある。
言いたくないよ。
聞きたくないよ。
本当は。
だけど、もう逃げられない。
逃げないって、そう決めたの。
私の前に座った上条さんは、着ていたジャケットを脱ぐ。
首元に手をかけ、スッとネクタイを緩める。
その仕草も、男の人なのにやけに色っぽい。
滲んだ汗を拭い、わずかに下がった前髪を直す上条さん。
(やっぱり、格好いいなぁ………。)
いつ見ても、上条さんは格好いい。
どんな時でも、上条さんは素敵に見える。
4年前も、今も。
私の目には、上条さんしか映らなかった。
きっと、もう重症なんだ。
離したくない。
せっかく叶ったこの恋を、ずっとこの手の中に閉じ込めておきたかった。