社内恋愛のススメ
「彼女との縁談は、最近決まって………。実和と付き合い始める前からそういう話はあったんだが、ずっと断り続けていたんだ。」
いつもは、無口な上条さん。
それほど言葉数が多くはない上条さんが、饒舌に語る真実。
それだけ、必死なのかもしれない。
私の為に。
私が誤解しない様に、説明しようとしてくれているのだ。
彼なりの誠意。
婚約者の存在を知ってしまった、恋人に対する誠意。
「それがここ1ヶ月、強引に話を進める様になってきた。いくら話しても、文香も小倉社長も聞いてくれなくて………。」
なおも、話を続ける上条さん。
上条さんの言葉に、嘘はないのだろう。
私にだって、それくらいは分かる。
小倉社長と、文香さん。
あの2人の様子は、私も見ていた。
少々強引とも思える、見せ方。
御披露目のやり方。
あんな所で婚約したことを広めなくても、いくらでも方法はあったはずだ。
しかし、あの2人は、そうしなかった。
あえて、強引に御披露目をしてのけた。
そのことに、何の意味があるのか。
それは、傍観者でしかない私には分からないけれど。