社内恋愛のススメ



「彼女との縁談は、最近決まって………。実和と付き合い始める前からそういう話はあったんだが、ずっと断り続けていたんだ。」


いつもは、無口な上条さん。

それほど言葉数が多くはない上条さんが、饒舌に語る真実。



それだけ、必死なのかもしれない。


私の為に。

私が誤解しない様に、説明しようとしてくれているのだ。



彼なりの誠意。


婚約者の存在を知ってしまった、恋人に対する誠意。



「それがここ1ヶ月、強引に話を進める様になってきた。いくら話しても、文香も小倉社長も聞いてくれなくて………。」


なおも、話を続ける上条さん。


上条さんの言葉に、嘘はないのだろう。

私にだって、それくらいは分かる。



小倉社長と、文香さん。

あの2人の様子は、私も見ていた。


少々強引とも思える、見せ方。

御披露目のやり方。



あんな所で婚約したことを広めなくても、いくらでも方法はあったはずだ。

しかし、あの2人は、そうしなかった。


あえて、強引に御披露目をしてのけた。



そのことに、何の意味があるのか。


それは、傍観者でしかない私には分からないけれど。



< 128 / 464 >

この作品をシェア

pagetop