社内恋愛のススメ
出世に邪魔なのは、私。
上条さんの未来を曇らせているのは、私の存在。
言うのは、今。
決断する時は、今なのだ。
言いたくない。
出来るなら、こんな選択肢は選びたくなかった。
だけど、もう終わりなんだね。
私と上条さんを繋ぐ糸は、切れてしまった。
こうなることは、既に決まっていたのかもしれない。
「上条さん………。」
「実和?」
「上条主任、私と………別れて下さい。」
大好きな人の名を呼ぶ。
わざと、主任と呼んで。
涙が零れそうになる。
でも、必死に堪えた。
泣きたくない。
今は、今だけは泣きたくない。
プライドだけが、私を動かしている。
プライドなんて、なければ良かった。
そんなものがなければ、もっとなりふり構わずすがり付けた。
プライドに惑わさなければ、文香さんのことを跳ね退けられたのだろうか。
「結婚しても、上条さんのことを好きで居続けます。」
そう言えたのだろうか。
私には、そんなこと………言えない。
幸せそうに笑っていた、文香さん。
何も知らずに微笑んでいた彼女の未来を引き裂く様なことは、とてもじゃないけど出来ない。
不倫。
その2文字が、脳裏をよぎる。
このまま、付き合い続けて。
私との関係を隠したまま、上条さんが結婚してしまったら、私達は不倫という関係になってしまう。