社内恋愛のススメ
それは、恋。
芽生えたばかりの頃の、淡い恋。
だけど、きっと気のせい。
勘違い。
だって、私は上条さんが好きなのだ。
好きだったのだ。
上条さんと別れたのは、1ヶ月前。
もう、1ヶ月じゃない。
まだ1ヶ月しか経っていないんだ。
ついこの間まで深い関係にあった上条さんを、まだ好きなはず。
だから、こんなにも意地を張って。
苦手なメイクも続けて。
行きたくないのに、無理に出社してる。
がむしゃらに仕事をしていたのは、上条さんのことを忘れたかったから。
1日でも、早く。
1秒でも、早く。
上条さんのことを忘れたい。
なかったことにはしたくないけど、思い出にしたいんだ。
綺麗な思い出に。
いつ思い出しても、美しく思える思い出に。
上条さんのことを思い出す度に、仕事に精を出した。
自分なりに、仕事に励んだ。
だから、そんなこと、あるはずない。
「有沢?」
ボーッとしていた私を心配して、長友くんが私の顔を覗き込む。
一気に縮まった距離。
少し離れていたはずの距離が、長友くんの行動によって0に近くなる。
いつもよりも、長友くんの顔が近い。
近いというか、近過ぎる。
迫る、長友くんの顔。
それに反応して、私の頬は真っ赤に染まってしまった。