社内恋愛のススメ



適度に、恋はしたい。

だけど、そのことと結婚とは、また別の話。


結婚している自分を、具体的に想像出来ないのだ。



誰かと未来を誓い合う、そんな自分。

誰かの為だけを想って、待つ自分。


そんな自分を、どうしても想像出来ない。



結婚したくないとは言わない。

でも、現実的には考えられないんだ。


そんなことを思っていた私に、真っ直ぐな言葉を長友くんはぶつけてきた。



「ふーん。」

「な、何?」

「いや、別に。………有沢らしいなと思って。」

「長友くん、喧嘩売ってる?」


いつもみたいな、軽いやり取り。


思わず喧嘩腰になった私に返ってきたのは、長友くんの意外な考えだった。




「俺は、結婚………したいけどね。」


(長友くんが、結婚………!?)


長友くんの口から飛び出した、結婚の2文字。

その言葉に、私の騒がしい心臓は異常なほどに反応を示す。



ドクン。

ドクン、ドクン。


体内で暴れ回る。

鼓動だけが、耳に響く。



止まらない。

止まらない。


止められない。



長友くんが結婚する。

結婚って、誰と?


あれ、長友くんって、彼女………いた?



そんな話、聞いたことない。

長友くんからも、他の人からも。


そんなの、知らない。


私、何にも知らない………。



何故か、傷付いている自分。


そんな自分を隠す様に、私は嘘臭い笑みを張り付けた。



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