社内恋愛のススメ



休みの日に、海に遊びに来た恋人みたいだ。

そう、まるで、本物の恋人みたい。


同僚じゃなくて。

同期でもなくて。



「長友くーん!」

「んー?」

「スーツの裾、濡れちゃうよ?」

「げ!そういうことは、もっと早く言えって。」


押し寄せる波によって濡れる、長友くんのスーツ。

スラックスを慌てて捲り上げる長友くんは、子供そのもの。


体だけが大人で、中身はそのまんま子供。

大きな子供だ。


ほら、言動もガキっぽい。



「なぁ、有沢。脱いでもいいかー?」


ふと浮かぶ、スラックスを脱いだ長友くんの姿。

パンツだけの姿。


思い浮かべただけで、顔が火照る。


からかわれているだけなのに、私の体は心よりもずっと正直だ。



「む、む、無理!!」

「何が無理なの?」

「………っ、絶対止めてよね!」


私の反応が予想以上で、よほど面白かったのだろう。


長友くんが、スラックスを脱ぐ仕草をする。

わざとらしく、ベルトをガチャガチャと音を出して外し始める。



「パンツも脱ごうか?」

「へ、変態………。それやったら、露出狂って呼ぶから!」

「あ、見たい?」

「見たくない。絶対見たくない!」

「ご要望には応えないと。」

「バカじゃないの!?早く止めないと、通報するから!!」


男は大人になっても子供の様だとよく言うけれど、それって本当のことなのかもしれない。



通報されるのは、さすがに困るのか。

長友くんは、ようやくベルトから手を放す。


とりあえず、本当に長友くんが脱ぎ出さなくて安心した。



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