社内恋愛のススメ



「だって、俺、有沢のことが好きだから。好きな女のことに無関心でいられるほど、俺は醒めてません。」


さっきの長友くんの言葉の真意を確かめる方が、今の私にとっては大切なこと。


長友くんをキッと睨み付け、私はこう尋ねた。



「長友くん………。」

「ん?」

「さっきのあれ、何?」

「あれって、何のこと?」


はぐらかす様に、そう答える長友くん。


視線をわずかに逸らした様に見えるのは、気のせいだろうか。



こんなことを、好きで聞いてるんじゃない。

出来るなら、聞きたくはない。


こんなことを聞いて、気まずくならないはずがないから。



でも、なかったことには出来ない。

聞かなかったことにも出来ない。


私は、そんなに器用な人間じゃない。

覚悟を決めて、もう1度聞く。



「私のこと、好きって言ったよね?………どうして、あんなこと、言ったの?」


どうして、あんなこと、あの場で言ったの?

よりによって、上条さんの目の前で。


私がそう聞けば、長友くんは顔を真っ赤にする。



耳まで真っ赤な長友くん。


声にならない声が、長友くんの口から漏れた。



「あー、えっと………うーん………」


長友くんのこと、困らせたい訳じゃない。

あの言葉に、あの行動に助けられたのは事実だけれど。


それでも、聞きたいんだ。

聞かなくちゃ、いけない。


何も言わない長友くんに、荒々しい言葉をぶつける。



「長友くんには、結婚したい人がいるんでしょ?だったら、あんなこと………私に言わないで!」


結婚したいと思えるほど、好きな人がいるのに。

他の人を好きなのに、私のことを好きだと言わないで欲しかった。



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