社内恋愛のススメ
例え、あの場を乗り切る為の嘘だったとしても。
上条さんの前から、私を連れ出す為の嘘だったとしても。
長友くんにだけは、あんなことを言って欲しくなかった。
だって、それじゃ、上条さんと変わらない。
私を好きだと言いながら、別の人と結婚しようとしている上条さん。
私を愛していると言いながら、文香さんという婚約者がいる上条さんと同じなんだよ。
「助けてくれたのは、嬉しい。けど、あんな風に言ったら、上条さんが誤解するじゃない………。」
そう。
確実に、上条さんは誤解してる。
長友くんが私のことを好きなんだって、そう思ってる。
「そのことで、長友くんにまで迷惑がかかっちゃったらどうするの?………そんなの、私、嫌だよ。」
上条さんに誤解されたままでいることが、嫌なんじゃない。
上条さんがどう思おうと、それは上条さんの自由。
私だけなら、どう思われても構わない。
だけど、長友くんにまで迷惑をかけたくないのだ。
長友くんと、長友くんが結婚したいと思っている人にまで迷惑をかけたくない。
上条さんが、私と長友くんの仲を疑っている。
そのことで、長友くんにまで被害が及んでしまったらーーー………
そのことが1番、私は怖いのだ。
だって、私と長友くんは同僚。
仲がいいだけの、ただの同僚。
長友くんに恋をしているのは本当のことだけれど、長友くんが私のことを好きだと言ったのは、あの場を乗り切る為の嘘。
長友くんは、私のことを好きな訳じゃない。
人間としては好かれていても、女として好きではないのだから。
仲がいいだけで、私と長友くんは無関係な人間なのだから。