社内恋愛のススメ
『残酷な愛』



胸元に光る指輪。

長友くんがくれた、シルバーリング。


私は宣言通り、その指輪をチェーンに通して身に付けている。



肌身離さず、一時も。

何度付けても、緩くて抜けてしまうことに変わりはない。


たまにチェーンから外して、指にはめていることは、長友くんには秘密。



キラリと光る指輪は、私の宝物。


私と長友くんを繋いでくれる、銀色の印。







何度も同じ夜を過ごして、何度も隣で朝を迎える。



「長友くん、起きて!」

「んー、………眠い。」

「起きてってば!今日、仕事でしょ?」


同じベッドの中で、寄り添う様に眠る2人。

寝ぼけた長友くんが、私の胸に手を伸ばす。



プチン。


寝起きのクセして、ブラのホックを外すのが早い。

フワッとした開放感の次に訪れたのは、絶え間なくやってくる快感。



「や、だ………っ、ちょっと、長友………くん………。」


長友くんの手が、私の胸の先端を攻める。

強く攻められたかと思えば、今度は這う様に優しく撫で上げてみたりする。



テクニックがあるかどうかなんて、経験が少ない私には判断出来ない。


でも、私はこの手に惑わされてる。

いつもいつも、この手は簡単に、私をてっぺんまで昇らせていく。



「やだって、ほんと?息が荒いけど。」


完全にこの男、起きてる。

目が覚めてる。


さっきのは、演技だったのだろうか。

どこでスイッチが入ったんだ。



「いや………じゃないけど………っ、ん、んん………っ。」

「朝から、有沢さんはやーらしいね。………もっと、でしょ?」

「う、ん………。」


寝起きの体には、刺激が強過ぎる。


長友くんの低い声に、脳波が揺れる。

揺さぶられる。



「声、ちゃんと出して。有沢の声が聞きたい。」

「長友……くん……、ゃ………あ………。」

「好きって、言って。俺のこと、どう思ってる?」

「好き………だよ。長友くん、お願い………。」

「………俺も、有沢のこと、好きだから。」


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