社内恋愛のススメ



不安なんだ。

長友くんは、不安で堪らないんだ。


だから、言葉で確かめる。

私に好きだと言わせて、それでやっと安心出来るのだ。



待っていた時間が、想像以上に長いから。

ずっとずっと、歯がゆい思いをしていたからこその行動。


痛いくらいに分かるその気持ちごと、長友くんの体を抱き締めた。



「は………っ、………長友………くん。」


欲しいよ。


長友くんの全て。

心も、体も全てが欲しい。



「ね、もういい?」


離れていた体が重なる。

再び、1つになる。



会社でも隣なのに、プライベートでも常に一緒にいることが増えて。


近くて遠かった、長友くんとの距離。

同僚でしかなかった長友くんとの距離が縮まって、なくなっていく。



ずっと、こんな毎日が続けばいい。


平穏で、だけど刺激的な毎日が。



長友くんの隣。


それは、私にとって落ち着ける場所。

癒される場所。


それと同時に、私をときめかせてくれる場所でもある。



私を、女の子に戻してくれる。

恋に溺れる女にしてくれる。


自分が女だと、再確認させてくれるんだ。



それが、長友くんの隣。


長友くんの腕の中。








付き合い始めてから、3ヶ月。

長友くんと一緒に担当していたプロジェクトも終わり、無事に年が明けた。


初めてのクリスマスは、もちろん一緒に。

仕事が終わってから、2人並んで会社を出た。




「クリスマスに仕事とか、やってらんねー。」

「………とか言って、進んで残業してたクセに。」

「仕事は、仕事だしなー。しょうがないじゃん。」


知ってるよ。


文句を言いながらも、誰よりも頑張っていたこと。

自ら願い出て、残っていたこと。


長友くんにつられて、私も残って仕事をしていたのは言うまでもない。



「ケーキ買おうよ!せめて、ちょっとくらいはクリスマスっぽく………。」

「そうだな。じゃあ、酒もー。」

「それは、長友くんが飲みたいだけでしょ!」

「疲れた自分に、ご褒美をやるんだよ。」


小さなケーキを買って、長友くんの部屋で2人で食べた。

いつもみたいにビールではなく、シャンパンで乾杯をして。



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