社内恋愛のススメ



過去は、過去。

今は、今。

未来は、未来。


そう思える様になった。

時間はかかったけど、今ならば心からそう思える。


胸を張れる。


上条さんは、私の中で思い出の中の人に変わったのだ。



あの人が、この手紙を送り付けてきた理由は分からない。


あんなに、私に対して執着している様に思えたのに。



上条さんが、何を考えているのか。

何を思っているのか。


付き合う前も、付き合っていた頃も、別れた今でさえもよく読めない。



嫌がらせなのだろうか。

当て付けなのだろうか。


それとも、ただの部下だからこそ、この手紙を送ってきたのかな。



あの人の中でも、私は思い出へと変わっていっているのだろうか。


理由は分からないけれど、私は出席の方に丸を付けて、ポストに投函した。




それがいいと思った。

それでいいんだと、そう思った。


私は、部下だ。

上条さんは企画部の主任で、私は企画部で働く社員。



何を躊躇う必要がある?

もう関係ない。


上司と部下。

それ以外に、私達を言い表す言葉なんて存在しない。


もう何の関わりもないからこそ、私は出席することを躊躇わなかった。



私にだけ、この手紙が届くはずがない。

この手紙は、おそらく企画部の社員には全員届けられていることだろう。


私の隣のデスクの、長友くんの元へも。



結婚式なんて、長い人生でそう何度もない。

上司の晴れの席に、社会人としての自覚がある長友くんが欠席するとはどうしても思えない。


その上司を好きであるかどうかは、置いておいて。



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