社内恋愛のススメ



知れば知るほど、惹かれていく。

惹かれてしまえば、また知りたくなる。


長友くんのこと。

長友くんの心。

長友くんの全てを。


ずっとそれを、繰り返しているのかもしれない。



「どうした?」


怪訝そうに、長友くんがそう聞く。


周りに配慮して、小さな声を出す長友くん。

場所が場所だけに、長友くんも気を遣っているのだろう。



私の耳元に、顔を近付けて。

さっきよりも距離を縮めて、私に声をかける。


くすぐったい。

長友くんの声が、長友くんの息が耳を掠めていく。



顔が赤いのは、バレているだろう。


我ながら、分かりやすい人間だと思う。



「何でもないよ。ちょっとね。」


私もまた、長友くんの耳に顔を寄せ、囁く。

内緒話をするみたいに。



神聖な教会の中に響くのは、私と長友くんの声だけ。


他には、何の音もしない。

誰の声も聞こえない。


無音の空間を打ち破ったのは、観音開きのドアを開く音だった。







ギィーー……


甲高い金属音を轟かせて、教会と外の世界を繋ぐ大きなドアが開いていく。


ほんの一瞬だけ見えた、空の青。

青い空をバックにして立つ、真っ白なドレス姿の女性。



肩の部分がふんわりと盛り上がったドレスは、どこかクラシックなデザイン。

女性らしいデザインとも言える。


丸みを帯びたドレスが、見事に女性らしさを演出してくれる。



控えめに胸元を隠した、たくさんのレース。

肩の部分のデザインと同じく、丸く広がるスカートのライン。


古典的なデザインは、私にはない彼女が持つ清楚さを引き出す。



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