社内恋愛のススメ
「大丈夫だって。もう、そんなんじゃないから。」
「だけど、さ。」
「まぁ、何も考えないと言えば、嘘になっちゃうけどね。」
まだまだ何か言いたそうな長友くんを制して、私は続ける。
「私の彼氏さんは誰だっけ?」
「………俺、です。」
「今、私は長友くんの彼女のはずなんだけど、………嫉妬しないの?」
わざと、からかう様にそう聞いた。
少しは、長友くんの本音も知りたい。
長友くんの言葉の奥に潜む、本当の気持ちが見たくなる。
付き合っているからと言って、何でも分かる訳じゃない。
全てを分かり合えている訳じゃない。
付き合いの短い私と長友くんなら、なおのこと。
言葉にしない本当の気持ちは、本人にしか分からない。
長友くんだけにしか、分からない。
だから、教えて。
私に教えてよ。
長友くんの気持ち。
長友くんの本音を。
長友くんだけじゃないよ。
言葉にしないと不安になるのは、私だって同じなんだから。
私のこと、どう思ってる?
私のこと、どれくらい好き?
長友くんの言葉で教えて欲しい。
「………!」
真っ赤に染まる、長友くんの顔。
耳まで赤くなる長友くんなんて、会社では滅多にお目にかかれない。
だって、長友くんは、これでも同期の中では出世間違いなしと言われている人間。
普段はおちゃらけていても、有能な社員だ。
自慢しちゃいたいくらい、素敵な人。
そのことに、長友くんは気付いてる?
私がそんな風に思っていること、長友くんはきっと知らない。