社内恋愛のススメ
この手の温もりが愛おしくて、泣きたくなる。
長友くんの仕草が、あまりにもあの頃と変わらな過ぎて。
長友くんの隣にいられたあの頃と、何も変わっていなくて。
それだけでいっぱいになっていく。
心も体も、長友くんの手だけで満たされていく。
「や、めて………よ………。」
「止めない。」
拒絶の言葉も、長友くんによってすぐに跳ね返されてしまう。
止めて。
止めてよ。
お願いだから、これ以上触らないで。
これ以上、長友くんに触れられたら………私、隠しきれなくなる。
隠し続けることが難しくなる。
この気持ちを。
長友くんの対する、この想いを。
溢れ出しそうなこの感情を、抑えていられる自信がない。
それなのに、長友くんは止めてくれない。
止めようともしてくれないのだ。
「どうして、止めなきゃなんないの?」
「………っ、だって………私は!」
長友くんに最低なことをして、裏切って。
傷付けて、別れを告げて。
今はもう、彼女じゃない。
同僚ですら、ない。
「俺は触りたいよ。俺は、お前に触りたくてしょうがない………。」
長友くんのその言葉で、私の涙腺が一気に崩壊してしまった。
「………うっ、やだ………っ、ううっ………。」
流れ出してしまった涙は、簡単には止まらない。
溢れる涙は、堰を取り払ったダムの様だ。
私の目から溢れる涙を、長友くんが丁寧にその手で拭ってくれる。
無骨なその手で、そっと優しく。
私の悲しみを、虚しさを、長友くんの手が包み込んでくれる。
この1年、癒えることのなかった苦しみが、長友くんによって癒されていく。
変わってないね。
長友くんだけは、いつまでも変わらない。
こんな時にまで、長友くんは優しい。
「なぁ、有沢。お前、考えたことあるか?」
涙を拭いながらの、長友くんの言葉。