社内恋愛のススメ
「本当………だよ。」
嘘なんてつきたくない。
長友くんにだけは、嘘をつきたくない。
でも、嘘をつかなければならない時もある。
嘘を押し通さなければならない時もある。
今が、その時。
本当は、長友くんの隣にいたい。
長友くんと、ずっと一緒にいたいよ。
離れている間も、長友くんのことを忘れたことはなかった。
そんな資格はないと分かっていても、心の中から長友くんという存在を追い出すことが出来なかった。
好きだったんだ。
ずっとずっと、長友くんのことばかりを考えていた。
今、何をしてるんだろう。
今、どんなことを思っているんだろう。
隣には、誰かがいるのだろうか。
私ではない誰かがいて、長友くんに微笑みかけているのだろうか。
いるはずのない隣のデスクを見つめて、長友くんの姿を思い浮かべていた。
どんな出会いがあっても、長友くんとの思い出に勝るものはなかった。
長友くん以上に、好きだと思える人には出会えなかった。
私には、長友くんだけだった。
「じゃあさ、どうして?」
「何………が?」
「どうして、泣くの?俺を見て、泣き出したのは何で?」
長友くんが、私の嘘を簡単に見破っていく。
長友くんのことを見て、泣いてしまった理由。
そんなの、1つしかない。
どうでもいい人のことで、私は泣いたりしない。
感情を昂らせたりしない。
私の感情を揺さぶるのは、長友くん。
心を動かすのは、長友くんという存在。
長友くんだから、私は泣いたのだ。
涙が、自分の意思とは反対に流れ出してしまったのだ。
「それ、は………。」
頑張れ、私。
何か、適当な理由を考えるんだ。