社内恋愛のススメ



長友くんが納得してくれる様な、そんな理由を。

長友くんが引き下がってくれる様な、そんな言い訳を。


肝心な時に限って、何も頭には浮かばない。



真っ白な頭に残るのは、本心。


私の本当の心。



あなたが好きだから。

今でも、長友くんのことが好きだから。


だから、泣くんだよ。

長友くんのことが好き過ぎて、切なくなって泣いてしまったんだ。


喉まで出かかったその言葉を、必死に飲み込む。



「正直に言って。俺のこと、もう嫌い?」

「………!」

「どうでも良くなった?」


真上から聞こえる、長友くんの苦しげな声。


崩れていく。

頑なだった決意が、音を立てて崩れ落ちていく。



「俺は、俺は………今でも有沢のことが好きなんだよ。お前が誰を好きでも、俺はずっとお前のことだけを考えてた。」


同じだった。

私と長友くんの考えていたことは、離れていても同じだったんだ。


他に好きな人が出来ても、忘れられない。

離れていても、心の中にはその存在がずっとある。


長友くんも同じだった。

私のこと、ずっと好きでいてくれたんだ。



「他に、好きな男でもいるの?俺なんかよりも、そっちの男の方がいい?」


そう言われた瞬間、私は咄嗟に首を横に振ってしまった。



長友くんではない人を好きになる。

別の誰かを愛して、その人に愛される。


そんな未来、考えたこともない。



いる訳ないじゃない。

他に好きな男なんて、出来る訳がない。


こんなに、長友くんのことが好きなのに。

好きで好きで、堪らないのに。



他の誰かになんて、目が向かない。

私の心には、誰も入り込めない。


長友くん以外は、誰も。



< 427 / 464 >

この作品をシェア

pagetop