社内恋愛のススメ
心に残る影をどうしても消すことが出来なくて、恋い焦がれる。
会えない人だと知っていて、思いを馳せる。
自分が、誰を好きなのか。
誰に恋をしていて、誰を求めているのか。
そのくらい、分かっているつもりだ。
それなのに、別の人を好きになるなんて有り得ない。
嘘は、もうつけない。
隠すことも出来ない。
最初から、隠し通すことなんて無理だったんだ。
「わ、たし………は………っ、私………は………。」
「言って?」
「長友くんが………好きだよ。わ、私は………変わってない。変われなかった………、あの頃も、今も。」
変えられるのならば、変えたかった。
忘れられるものならば、忘れたかった。
そう出来たなら、もっと楽に生きられた。
でも、私には、それが出来なかっただけ。
どんなに離れていても、長友くんのことだけが好きだった。
長友くんのことだけを想っていた。
その手に触れたくて。
その唇に触れたくて。
会いたくて、会いたくて。
気が狂いそうなほど、長友くんのことだけを考えていた。
好きだよ。
大好きだよ、長友くん。
再びそう口にしようとしたけれど、言い終える前に私の唇は柔らかい何かによって塞がれてしまっていた。
チュッと耳に届くのは、唇と唇が触れる音。
軽く触れるだけのキス。
キスなんて、どれくらいぶりだろう。
その音はひどく甘美で、私の心を惑わせる。
ずっと、こうしていたい。
触れ合って、重なって、そのままでいられたらいいのに。
長友くんに甘えて。
長友くんの言葉にまで、甘えて。
だけど、そうしていられない。
甘えたままではいられないのだ。