社内恋愛のススメ



「んっ、や…………だ、止めて………!」

「愛しているよ、実和………。」


愛を囁いて、君を抱く。


僕には、君だけなんだ。

君しかいないんだ。


君以外なんて、どうだっていい。



絶望に落ちていく君を、何度も抱く。

何度も何度も、欲望を君の中に吐き出す。


これで満たされる。

報われないこの恋も、僕の心も。


そう思っていた。









終わった瞬間に感じたのは、空虚なる心。


音もない部屋。

誰もいない控え室。



「終わった………のか?」


気が付けば、君の姿がない。

愛しい君の姿が、どこにもない。


残されたのは、僕だけだった。



何も残らなかった。


欲しかった君の心も、体も、結局は手に入らない。

何1つ、僕の手には残らない。



「く、くく………っ。」


自然と漏れる、笑い声。

自分自身を嘲笑う為の虚しい笑い声。



「くくくっ、あーはっはっはっ………、ははっ!」


1人で、バカみたいだ。


僕は、何をしているんだ。

僕は、何がしたかったんだ。



取り返しがつかないことを、彼女にしてしまった。

1番してはいけないことを、1番大切な人に対してしてしまった。


なんて、バカなんだ。

バカな人間なんだ、僕は。



彼女を壊して、何になるんだ。

彼女の体を無理矢理奪って、何の意味があるというんだ。


そんなことをしても、彼女の心は戻らない。

彼女は、僕の元へは戻ってこない。


分かっていたのに、止められなかった。

自分の欲望を止められずに、突っ走ってしまったのだ。



君を求める衝動を、抑えることが出来なかった。

君を愛するこの心を、隠しておくことが出来なかった。


君のことが好きだった。

誰よりも、何よりも、君のことだけが好きだったんだ。



< 460 / 464 >

この作品をシェア

pagetop