ピンキーリング【短編】
デートは、いつも拓ちゃんが引っ張っていってくれる。
それがあたしは好きだった。
町のあらゆるスポットをまわり、ラストの夜景を見に来ていた。
まだ夕方なのに、冬は日が落ちるのが早い。
2人並んで夜景を見ながら、あたしは拓ちゃんにクリスマスプレゼントを差し出した。
「拓ちゃん、ハッピークリスマス★」
拓ちゃんに似合いそうな、ロイヤルブルーのマフラーと手袋。
「えっマジ!?
ありがとっ、なな!」
拓ちゃんは包みを開け、さっそくその場で首に巻いた。
「あったか~」
そう言いながら、拓ちゃんはあたしにおいでおいでをした。
ゆっくり近づくと、ぐいっと抱き寄せられた。
とたんに、あたしの顔は真っ赤になる。
いつまでたっても、いきなりされると真っ赤になってしまう。
「なな、オレのプレゼント、家にあるんだ。
うち、来てくれる?」
拓ちゃんのいきなりの申し出にビックリしながらも、こくりとうなずく。
…ー家に置いてあるプレゼントってなんだろう?
そう思いながら、拓ちゃんの家にむかった。