ピンキーリング【短編】
「なな、
ハッピーバースデー!」
そう言って拓ちゃんが差し出したものは、まぁるいケーキだった。
いびつな文字で【HAPPY Birth Day なな】とかかれていた。
「ななさぁ、12月25日クリスマスが誕生日なんだよな?」
「…うん。」
「だから、これからあとは、ななのバースデー会な。」
嬉しいに言う拓ちゃんをみながら、ふと疑問に思ったことを聞いてみた。
「…ねぇ。」
「うん?」
「このケーキ、拓ちゃんが作ったの?」
あたしの質問に、拓ちゃんが照れながら答えた。
「おー。
このために、オレ、ケーキ屋でバイトしてた。」
…ーそうだった。
拓ちゃんは、2ヶ月前に急にバイトを始めた。
このためだったんだね。