始まりの予感
思いっきりジャンプした事で着地に失敗した私は、エイジの方目掛けてよろめいた。
視界がぐらっと揺れるのを感じた時にはすでに遅かった。
「うわっ」
「きゃあ」
ドサッ
バランスを崩した私達は、2人仲良く床に倒れ込んでしまった。
「もー、エイジのバカ!いたたたた」
私の手にはしっかりと手紙が握られている感触がある。
エイジから取り返せた事でやっと安堵のため息が出た。
とりあえず、本当に良かった。
「おい……いきなり押し倒すって、どんだけ欲求不満なわけ?」
「へ?」
嫌な予感がして恐る恐る顔を俯かせると、私の下敷きになってクスクス笑うエイジがいた。
薄く開いた唇からは八重歯が顔を覗かせている。
「きゃあ!近寄らないで、変態!」
あまりの至近距離に驚きを隠せなくて、エイジから離れようと反射的に身体を仰け反らせる。
「シオが押し倒したんだろ?」
意地悪なエイジの声が耳をかすめる。
エイジの腰の上に跨る私は、その言葉に思いっきり首を横に振った。