§スウィート・ルージュ§~甘い秘密を召し上がれ~(完)

彼女が帰って二人きりになった部屋


ちょっと…気まずい…

けど、
疑問を解決しないと
なんだか気持ちが悪い


「あの、桜井くん 私…ホントに会ってるの?」


「以前、せんせーが老舗の和菓子店のイベント担当したコト
あったでしょ?」


「……?」


和菓子の…イベント…?


うーん…


あ…


私がまだ、前の会社の社食で働いてた時のことよね…


えーっと…


あれは確か…


そうそう!

会社が、スポンサーだったのよ

6月のおかしの日にちなんで

人気の老舗和菓子店の新作を
試食と和菓子の名前募集とかゆーイベントで…

営業部と広報だけの仕事だったのに
栄養士の資格を持ってる、ってだけで
私まで駆り出されたのよ!


結局、雑用ばっかでめっちゃ疲れたのだけは覚えてる


「あの時、桜井くんと会ったの?

ゴメンね、覚えてな…く…」


あ、桜井くんは高校生って言ったわよね?


「ね、もしかして

1時間くらい一緒に売り子やった高校生?」

そう!
思い出した!

絵に描いたような優等生で
めっちゃ礼儀正しくて…
一生懸命売り子したんだよね

「そーですよ、やっと思い出してくれましたか?」


淋しそうな笑顔だったのが、
口角があがった柔らかい表情になった

そうだったんだー
高校生の頃と
今と雰囲気違うから
わかんないはずよねー

「あ、もしかして
私が担当した桜井和菓子店て
桜井くんのおうちだったの?」

「えぇ…
オレはそこの長男です」

だから、さっきお店って言ってたのね…


「店は弟が継ぐことになってるし
オレは、店継ぐことはないので…

親とも話し合った結果です」


「ふーん…
お店じゃなく
カメラマンの道を選んだんだ…」


「えぇ…」


そうよね、人生一度きりだもの
やりたいこと、やらないと後悔しちゃうものね

「あー、だから
料理教室も手際良かったのねー

なにか、携わってたんだろうとは
思ってたけど
おウチのお手伝いとか
してたのねー」


「あー、オレはそんなに手伝ってないすよ、
見てただけです
オレより、弟の方が手際良し
きちんとしてるんで」


「弟さんは何してるの?」


「今、京都のオヤジの知り合いの店で、修行してます

なかなか帰ってこられないんですけど…」


「そうなんだー」

                
すこしだけど
桜井くんに対してのことが
垣間見れた


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