密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
 私だって努力した。女として見てもらえるように。


 セクシーなランジェリーも纏ったし、美容室に行って髪も切り揃えた。

 甘く誘惑するようなパフュームもつけた。

 指先をセクシーにと爪も磨いた。


 ベッドの上で亮の背中に胸を押し当てるように、ぎゅっと抱きついた。

「亮……」

「疲れてるから」

 即座に返された亮のその一言が抵抗できない全てを表していた。

 押し当てた鼓動は私の欲求を伝えてはくれなかった。

「おやすみ」の言葉もない。

 愛という鼓動は永久停止している。



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