Love the love.
シンディーはぎろりとテルを睨んだけど、くるっと振り返ってキラキラの瞳を細めた。
「いいや!ハルに会えたから~!ハル~!!」
またもや抱きつこうと頑張る彼女をひょいと避ける。俺は、初めて会った時からこの子に好かれてしまっている。
「シンディー、いい加減に俺は諦めなさい。他にもっといい男がいるでしょうが」
俺が冷蔵庫の前に戻りながら言うと、一緒についてきながらシンディーは後ろでケラケラと笑った。
「いい男?パパが連れてくるような金髪碧眼のお坊ちゃま達のこと?あんなのごめんよ、私は、無人島に置き去りにされても生き残れるような強い男がいいんだから~」
・・・そんなやつ、いないと思うよ。呟きは心の中でしておいた。
もう一度開けた冷蔵庫には、当たり前だけど食べ物は増えていない。後ろから覗き込んだシンディーが、呆れた声を出した。
「――――――何もないじゃん」
「やっぱりそうだよね。食い物が、ない」
バタンと冷蔵庫を閉める。俺とテルの分の昼食をこの冷蔵庫の中身から作り出すには大いなる魔術が必要だよな。さて、どうするか。
うーんと唸りながら両腕を組むと、シンディーがつかつかと部屋を横切って、テルの上にどすんと座り込んだ。
「うげっ!!」
当然、テルはつぶれた。そして蛙のような声を上げる。・・・可哀想に。
上に乗ったシンディーはぐいーっとテルの耳を引っ張り上げながら、平然と聞いた。