炭酸アンチヒーロー番外編
予想通り机の中にあった鍵を見つけ、俺は行きと同じく、急いで自転車置き場へと戻っていた。
ああくそ、俺完全に生活がまお中心になってるな。
彼女のことを考えると無意識に急いてしまう身体に、思わず舌打ちしながら生徒玄関を出ると──。
「えぇー? ふふっ。やだもう柳川くんってば」
「あはは。だって本当のことだしなぁ」
「(は……?)」
俺の自転車の横で、仲良さげに話している制服姿の男女。
あれはまおと……夏まで同じ野球部に所属していた、柳川だ。
「……あ、ヒロくんっ!」
「おー辻。お疲れ~」
俺の姿に気づいたまおが、笑顔で声をかけてきた。
つられるようにこちらを振り向いた柳川も、軽く手をあげてくる。
だけど俺は、そんな柳川に挨拶を返すこともなく──ずかずかと、ふたりに近づいた。
「……なんで、柳川がここにいんだよ」
「えー? ただの通りすがり? 蓮見さんがひとりでいるの見つけたから、辻が来るまでしゃべってた」
あっさりそう言って、柳川が「ね?」とまおに同意を求める。
そこで彼女は、申し訳なさそうに柳川を見上げた。
「ごめんね、なんか付き合わせるみたいになっちゃって」
「いや全然。むしろこっちが楽しんでたくらいだし」
にっこり。微笑んだ柳川に、まおはなぜか照れたような笑みを浮かべる。
そして、それを見た瞬間……俺の中で、何かがプツンと、音をたてて切れた。
ああくそ、俺完全に生活がまお中心になってるな。
彼女のことを考えると無意識に急いてしまう身体に、思わず舌打ちしながら生徒玄関を出ると──。
「えぇー? ふふっ。やだもう柳川くんってば」
「あはは。だって本当のことだしなぁ」
「(は……?)」
俺の自転車の横で、仲良さげに話している制服姿の男女。
あれはまおと……夏まで同じ野球部に所属していた、柳川だ。
「……あ、ヒロくんっ!」
「おー辻。お疲れ~」
俺の姿に気づいたまおが、笑顔で声をかけてきた。
つられるようにこちらを振り向いた柳川も、軽く手をあげてくる。
だけど俺は、そんな柳川に挨拶を返すこともなく──ずかずかと、ふたりに近づいた。
「……なんで、柳川がここにいんだよ」
「えー? ただの通りすがり? 蓮見さんがひとりでいるの見つけたから、辻が来るまでしゃべってた」
あっさりそう言って、柳川が「ね?」とまおに同意を求める。
そこで彼女は、申し訳なさそうに柳川を見上げた。
「ごめんね、なんか付き合わせるみたいになっちゃって」
「いや全然。むしろこっちが楽しんでたくらいだし」
にっこり。微笑んだ柳川に、まおはなぜか照れたような笑みを浮かべる。
そして、それを見た瞬間……俺の中で、何かがプツンと、音をたてて切れた。