大人の恋愛~背徳の行方~
二人で、ご飯を食べ終わると、梨桜が、

「螢・・・・きちんと別れましょ! あなたは、父親になるんだし
 あなたには、真紀さんと子供を守って行かなくちゃならない。
 私の事は、忘れて、その分二人を幸せにしてやって・・・・
 お願い・・・・・螢・・・・幸せになって・・・・・」

「梨桜・・・・・」

螢は、笑顔で話す梨桜に、何も言えなかった。

梨桜の顔は、笑顔で話してはいるが、涙が出ていた・・・・

螢は、何も言わずに、梨桜のマンションを後にした。


螢が出て行った部屋で、梨桜は、今度こそ、大きな声を出して
泣いた・・・・・。

人は、どれだけ泣けるのかと思うほど、泣いた・・・・。

その日は、何もする気になれず、梨桜は、ただ外を眺めて一日を
過ごした。


一方、螢は、一旦、家に帰り、真紀のいるマンションに向かった。

「おはよう・・・」

「あっ、螢、おはよう・・・」

「体は、大丈夫か?」

「うん、ただ悪阻が始まっていて、あんまり食べられないの・・・」

「なぁー、新婚旅行、延期にしないか!?」

「えっ・・・・」

「真紀、悪阻があるのに、飛行機に乗って、ましてや海外の食事って
 真紀が苦しいだけだし、楽しめないぞ!!」

「・・・・・うん・・・・そうだね・・・・・」

「新婚旅行は、中止にして、子供が生まれて落ち着いたら
 家族で、出かければいいさ!」


「うん、解った。」

螢は、真紀に新婚旅行の中止を申し出た。
< 121 / 232 >

この作品をシェア

pagetop