生まれ変わる光
「確かにホタルは僕たちから見れば、儚いものかもしれない。だけどホタルたち自身は、どうして生きているのって思っていないかもしれないよ」
「………」
「ホタルって、どうして光るのか知ってる?」
「……知らないわ」
しばらく泣き続けていた彼女だけれど、この質問には答えてくれた。
僕の顔を見上げた彼女の頬には、涙の跡がくっきりと残っている。
空いている方の手でそれをなぞりながら、僕は続けた。
「さっき君はホタルが一週間ぐらいしか生きられないと言ったけど、実はそれは成虫になってからの話なんだよ。本当は幼虫の間に、もっと生きてる。成虫でいる時間よりも長い時間を、幼虫としてね」
「そう、なの……」
「成虫になったホタルが光るのはね、求愛をしているからなんだ。ホタルはオスとメスを求めて、短い時間の中で精一杯生きて光ってる。……たった一瞬の間だけしか、光っていることは出来ない。だけどホタルはその一瞬のために、幼虫である時を必死に生きているんだ。それがきっと、ホタルが生きる意味でもあると思う」
「………」
彼女は何も答えない。
知らぬ間に虫の鳴き声は聞こえなくなっていて、不気味な静けさが辺りを覆う。
そんな中で僕は、ただひたすら喋り続けた。