~宿命~
俺ら二人はその力を秘めていた。
この力は火事場のバカとは違う。
繊細でどんな些細な刺激でも怒りに変え、動力源にしてしまう。
欠点は持続時間が長ければ長いほど力が制限されてしまい、繊細な為、大きな失敗をすると心がおれてしまう所だ。
簡単に言えば短気を起こしてヤケになる事。
俺はこれを《ブラックゾーン》と呼んでいる。


ブラックゾーンに入り、言う事を聞かなくなった安居を仕方なく前に行かせ、後ろからサポーターとして山を登り始めた。
20分程登ると麓から見えていた根っこだらけの崖が姿を現した。
明隆:「うひゃ~!思ったより高いなぁ。どうするぅ~。俺、ちょっと休憩するゎ。」
俺は安居に動力源となる刺激を与えた。
案の定、刺激を力に変え唇を噛み締めて登って行く。
いつも冷静な安居でも時と場合によっては変わる事があるのに驚いた。
しかし、ブラックゾーンを知り尽くしてないと代償を支払うはめになってしまう。
俺はその代償の重みを知っていた。
< 39 / 200 >

この作品をシェア

pagetop