偽りの婚約者


紗季さんは、東條さんの事を怪しんでいたけど紗季さんに分かって貰えるにはどうしたらいいんだろう……。




「……いたい?」


眠くて目が開かないよ。
でも頬っぺたが痛い。


「いい加減に起きろ」


ぼやけていた視界がだんだんはっきりとして目の前には東條さんの不機嫌な顔があった。



「東條さんもいい加減に離して下さい。頬が痛いです」


やっと離して貰えて掴まれていた方の頬を撫でた。


「お前が見たいっていうから借りて来たんだろう?全然見てねぇし……」



そうだった。さっき一緒にDVDを借りて来て先に私が見たいのを見始めた。
その内に東條さんに肩を引き寄せられてそのまま彼の方に寄りかかって見ている内に眠くなって、そのまま寝てしまったんだ。



凄くふわふわして気持ち良かったのになぁ。




「もうちょっと寝てたかったのに」


そう文句を言うと。



「あのな、俺だって借りてきたやつ見たいんだ。
わざわざ、譲ってやったのにな。居眠りして見てねぇし……。
お前が寄りかかって来て動けねぇし。
起きたならちょうどいいお前がDVD入れ換えてこい」


「えー、今動きたくないです」



まだ余韻が残っていて目を閉じたら、そうまま眠っちゃいそうなのに。


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