偽りの婚約者




《……泣いてません。……何でもないんです》


《嘘つき、直ぐに分かった。泣いてるってな?》



そうだよね。
分かっちゃっても仕方ないぐらい嗚咽混じりの掠れた声しかでなかった。


今すぐに東條さんに会いたくなった。



いつもみたいにギュッと抱きしめてもらえたら主任との出来事なんてきっと忘れられる。



《東條さん……会いたいの……今すぐに会いたいよ》




《……分かった直ぐに迎えに行く。今どこだ?もう会社は出たのか?》



東條さんに駅の方に向かっていると言うと駅で待っているように言われて電話は切れた。



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