偽りの婚約者


夜、叔父から電話がかかって来た。
叔父夫婦には復讐をやめたことを、この間話したばかりだ。
何故か嫌な予感がした。



《叔父さん、それはどういう事ですか?》



《安西千夏の父親が世話人を通して今回のお見合いは正規のものかと訊いてきた。
雅人の気持ちはこの間聞いて理解した。だからそちらとは結婚を前提にお付き合いをしたいと思っている筈だと言っておいた。それで、いいんだよな?》


《叔父さん、すみませんでした》


《あちらのご両親には、お前がやろうとしていた事は話してないんだろ?》



《千夏が話していないのなら知らないと思います》




自分がやろうとしていた事だ。
もし、知られても言い逃れをするつもりはない。


復讐の事がどこからか漏れたのか?
千夏が復讐の事を話していないと言う確信があった。


もうあれから3ヶ月以上経ち千夏の両親は結婚の話しがちっとも出て来ない事に不安を感じているのかもしれない。
だったらちょうどいい、そろそろ千夏との結婚の意思を、はっきりとさせなくてはと思っていた。
結納の日取りなども決めていかなくてはいけない事がいろいろとある。



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