偽りの婚約者
復讐はやめたが、千夏の両親を騙した事に変わりはない。
謝って、直ぐに許して貰えるとは思ってはいない。
分かって貰えるまで何度でも許しを請うつもりだ。
彼女の家に着き部屋に通され中に入ると千夏が部屋の隅で不安そうに座っていた。
千夏と目が合い大丈夫だと言いたくて、じっと彼女を見つめると言いたい事が伝わったのか彼女が頷いたように見えた。
「東條君、そこに座ってくれないか」
千夏の父親に言われて座った。
「先ずはこの手紙を呼んでくれないか?私達のもう一人の娘の所に来た手紙なんだが」
渡された読み始めた手紙の内容は、まるで近くで俺をみていたかのように本当に詳しく今までの事が書かれていた。
これを書いたのはもしかして……先輩?
いや、先輩がこんな事をする筈はない。
「この手紙の内容に身に覚えはあるかい?」