偽りの婚約者


「ちょっと待てよー。俺も帰る」


先輩があのまま、動かなかったら放っといて帰ろうと思ったがお金を払っている間に先輩は来た。


「先輩の分は自分で払って下さい」


「はっ?先輩の分も払っときます、じゃないのか?」

「誘ったのは先輩ですよ?ワリカンにしただけ良いと思って下さい」


「分かってる、自分の分はちゃんと払うさ」



タクシーに乗って先輩のマンションにつく間、先輩は何が嬉しいのかニヤニヤしていた。



「えらく、ご機嫌なんですね?」



「お前は、えらく不機嫌だな?
安西さんの事が気になってるんだろう?」



「別に俺は……千夏の事は信じてるし……」



「そうか…」



気になっているのは、先輩の事だ。
さっきは千夏の事が気になっているって言っているようにしか聞こえて来なかった。



先輩は、いつから千夏の事を……。
きっと最近なんだろう。
千夏の事を前から想っていたのなら利用しようとしていた時に、もっと強く反対していたはずだ。






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