偽りの婚約者


「千夏、今日一時間だけ残業してほしいんだけど大丈夫?」



「主任も残業するですよね?紗季さんはやりますか?」



あの事があってから残業をしてほしいと声がかかる時は必ず他にやる人がいないか確かめてから決めるようにしていた。
主任と二人きりにならないように。



「やるわよ。あと榊君と市原さんも大丈夫って言ってたかな……」



「私も大丈夫です」


「そう、じゃあ千夏はやるって事で報告しとく」



「お願いします」





一時間の残業が終わり榊君と市原さんが帰り私と紗季さんも帰ろうとした。



「主任お疲れさまでした」



「君達、ちょっと待ったっ」


呼び止められてビクッとなった。
でも今日は紗季さんも一緒だし大丈夫だよね。


「残業は一時間だけのはずでしたよね?」


「いや、残業の事じゃなくて……これから3人でご飯でもどうかと思って」


どうするって顔で紗季さんが私を見た。
主任とご飯なんて……。
私は思いっきり首を横に振った。






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