偽りの婚約者


千夏の隣には先輩がいた。
千夏は笑っていた。



なんだよ……他の男と嬉しそうに話してんじゃねぇよ





「ところでさ、安西さんは最近凄く可愛くなったよな。女は男ができると変わるって言うからな。

あっ、でも俺は前から可愛い子だと思っていたぞ。
へこんだり落ち込んだ時に安西さんと話すと何故か癒されるんだよな」




「他にもそう思っているヤツが居るかもしれないな……呑気に構えていると安西さんを誰かに取られるかもしれないぞ」



barで言ってた事は先輩自身の事だったのかもしれない。



先輩の手が千夏の髪に触れた。


もう、限界だった。
車から降りて二人が立っている場所まで走った。


二人の前に立つと先輩と千夏は驚いた顔で俺を見ていた。



「東條さん!」



「先輩、千夏を連れて帰ります。いいですよね?」



「あっ、あぁ……安西さんまた月曜日に」


「主任、それじゃあ、お先にしつれいします」




最後まで言わせずに腕をつかんで車まで歩いた。



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