偽りの婚約者


そんなに、時間はかからないって言ってたから、そろそろ東條さん来るかな……。


「安西さん」


声をかけられて振り向くと主任がいた。
どうして主任がいるの?



「主任どうしたんですか?
さっきカラオケする人達と一緒に行きましたよね?」



「途中まで行ったんだけど忘れ物をして俺だけ戻って来たんだ」


「じゃあ他の人達は」


「先に取った部屋でもう歌ってると思う」



「安西さんは今帰る所?」



「あの、これから東條さんが迎えに来てくれるのを待っている所です」



「ちょうどいい。ずっと謝りたかったんだ」


「主任?」


「あの日、二人で残業した日、一方的だった。
安西さんの気持ちを無視して強引にやり過ぎた。ごめん」



主任は謝り、もう怖い思いはさせないから今まで通リに同じ課の先輩と後輩でやって行こうと言った。



「主任、あの時は本当に怖かったです。今まで通りにしてくれるならもうあの事は忘れます」



「じゃあ、和解って事で」


そう言うと主任は握手を求めて来た。







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