偽りの婚約者





「雅人は最近、雰囲気がずいぶんと変わりました。

それは……私は貴女のおかげだと思っています。

滝本興産のお嬢さんと付き合っている時は、何だか無理をしているように見えてね……。
でも今はそんなふうには見えない。私も妻も安心しているんですよ」





それから、しばらくして……東條さんはお母さんと戻ってきた。




帰り際に病室の外で、見送ってくれた東條さんのお母さんに「雅人の事お願いしますね」と頭を下げられた。


私もそれに続き頭を下げた。


東條さんはお父さんとお母さんに、すごく想われてるんだなって感じた。



来るときは、ものすごく緊張してたけど。


今は濃い霧が晴れて周りがはっきり見えて来たような、何だかすっきりした気分だ。
東條さんのお父さんとお母さんに会って、話しが出来て良かった。


< 251 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop