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 「選択の先に失敗があっても、また選択は訪れる。もし何かを成そうとする志があれば、必ず失敗の先に希望がある。遠回りしようとも。むしろ遠回りした方が、人としての厚みがでる。この本のように」
 指先に本で恭一は本の背表紙をコン・コンと二度叩いた。その音は思考をクリアにし、リセットし、リスタートする響きを纏っていた。りょうもう号の走行音を置きざりにするような。
「それでも私は近道したい。遠回りは疲れるし、自分ではない」
 鈴音は席から立ち上がり、パンツの締め付けは軽く直し座った。じっと座っているというのは非常に困難な作業を伴い、発刊を伴う。無意識的に人体は常に活動していることを実感させる。
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