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鈴音には意味がわからなかった。なにもかもが抽象的であり、目の前の恭一も抽象的な存在に見えた。彼女にとって男とい存在自体が抽象的でもある。すぐに身体の結合を求め、甘い言葉を囁き、最初に全力を注ぐ。そういう男があまりにも多く、そういう男は得てしてつまらない。
「意味はわからない。だけど、何かいなくなってしまうような感じがするのは気のせい?」
鈴音は恭一を見た。列車のアナウンスが流れ、『館林、館林。夢の館林』と余計な一文を添えた。浅草からそうだなのだが、この列車のアナウンスたる人物は、この一瞬に命をかけているように思えてならない。そこに楽しみを見いだし、面白みを見いだし、生きがいを見いだしている。そんな風に思えてならない、と鈴音は思う。が、恭一からの返答は未だに返ってこない。彼は遠い目を崩さぬまま、岩のようにびくともしない。そこだけ時間が止まったように、彼の空間には時間的概念を超越しているものがある。
「意味はわからない。だけど、何かいなくなってしまうような感じがするのは気のせい?」
鈴音は恭一を見た。列車のアナウンスが流れ、『館林、館林。夢の館林』と余計な一文を添えた。浅草からそうだなのだが、この列車のアナウンスたる人物は、この一瞬に命をかけているように思えてならない。そこに楽しみを見いだし、面白みを見いだし、生きがいを見いだしている。そんな風に思えてならない、と鈴音は思う。が、恭一からの返答は未だに返ってこない。彼は遠い目を崩さぬまま、岩のようにびくともしない。そこだけ時間が止まったように、彼の空間には時間的概念を超越しているものがある。