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 「いいわよ」
 なぜかそんなことを言っていた。それが鈴音の選択だった。どうしてだろう。心がやさぐれていたからか。人と話たかったかもしれない。家族がいなくなったからかもしれない。
 ああ、そうだ。もういないんだ。一人なんだ。鈴音は文庫本を握りしめた。もう一度。強く。もう一度。力強く。
「行こうか」
 恭一は自然な流れで言った。しかしそこには有無を言わせぬものがあった。
 鈴音の家族は、父と母、そして弟が一人いる。
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