HELP
 「だから、俺はここにいるということか」
「は?」
 鈴音はグラスを持つ手を止めた。
「気にしなくていい。人は思い込みの中で生きているから」
 なかなかに、暗示的な一文を放つ、と鈴音は思った。
 思い込み。
 たしかに、人は思い込む、と失敗したりミスしない限り、気づかない。むしろ気づくことを拒否しているかのようにも感じられる場面がある。初対面で、このような暗示的な一文を放つ人物に、彼女は今まで出会ったことがない。それが男性であれば尚更だ。
< 163 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop