BLACK or WHITE


「そう。ビターのにがーい奴。俺、チョコは甘いのじゃないと食べれないんだけどさ。社長から、もらっちゃったんだよね」

「はぁ」

「社長からもらったものだから、捨てる訳にもいかないし。…という訳で、もらってくれると嬉しいんだけど」


そう言って、彼は二コリと笑う。

こんな風に、笑顔でごり押しできるところが、彼が一目置かれる存在である理由だ。


…私には到底真似できないし、したくもないが。


「では、ありがたくいただきます」

「ん、ありがとう」


  ◆ ◇ ◆


「…これが苦いんだ」


彼が立ち去った後、煙草を吸う代わりに、一粒食べてみた。

しかし、私には物足りない苦さ。


「どんだけ、甘党なのよ」

< 6 / 114 >

この作品をシェア

pagetop