Many☆Love
「人違いだよ。私、田中くんと同じ小学校なんかじゃないよ」
田中 遥真 なんて人私の記憶にない。
「紫音が、ハルって言ってた人のことだよ」
伊緒が言った。
「小学校の卒アルなんでああなったか分からないけど、名前間違ってたんだよ」
田中くんが言った。
まさか、初恋の人が目の前にいるなんて。
ずっと、願ってたけど叶わなかったこと。
「私だって、ずっと忘れられなかったよ。大好きだよ。あの頃も。今も。」
ずっと、ずっと、伝えたかった言葉。
あの頃は、淡い恋心って感じだった。
でも、高校生になって、大きくなって、本当の恋を知った。
恋は、幸せなだけじゃないことも。
「お前も好きだったなんて思ってなかった。」
ちらっと、横を見ると伊緒はなんだか言いたげな様子。
「実は、二人がこの高校で再会するように仕組んだのあたしなの。」
「「えええええ!!!!?」」
二人して驚く。
ってことは、田中くんも知らなかったのかな。