《改稿中》V系霊媒師「咲邪」†SAKUYA†《改稿中》
「あっ! 事情を聞き出さなきゃ。待ちなさいっ! ちょっと貴女!」


 咲邪は慌てて彼女の走り去った後を追ったが、既にその姿は無かった。


「もう居なかった。でも……餓鬼になってしまった子達は、バスドラを壊せば元に戻るのかしら」


「さぁなぁぁ。映画やテレビじゃそれでめでたしめでたしってなるからぁ、壊して終わりじゃねぇのかぁ
ぁ?」


「全く以て甘いわさ!」



  ボッ ブボボボボッ



 再びメラメラと怪しく燃える炎の玉が現れた。


「あっ! また出たんだ。人魂だ」


「斬汰、何回言ったら解るのさっ! 萌え魂って呼べっていつも言ってるんだわさ!」



  シュボボボボッ



 萌えリンから斬汰に向かって伸びた火柱が、彼の鼻先をかすめる。


「熱ッ! な、なにするんだっ」


「お灸だわさ。血行が、結構良くなるわさ」


 寒いオヤジギャグを飛ばされて一瞬固まった覇龍が、それでも口を開いた。


「なぁぁ萌えリン。そこの所、どうなんだぁぁ? バスドラ壊せば解決なのかぁぁ?」


「餓鬼化した子達を浄拳で清めなければ駄目さ!」


 噂に依ると『カシカシ』は、インディーズレーベルからCDをリリースするらしい。それが出回ってしまったら、日本中に餓鬼が溢れてしまう。部屋に戻った咲邪達は、萌えリンを交えて作戦会議を行っていた。


「マズイわね。餓鬼化が広がる前に何とかしないと!」


「それに、バンドのメンバーは完全に霊に憑依されちまってるわさ。アイツらは結界内で除霊しなきゃ駄目さ」


「でもカシカシのメンバー達は、素直に除霊させてくれるかしら」


「悪霊にそそのかされてる野郎達がぁぁ、俺達のぉ言うことなんかぁ聞くかよぉぉ」


 覇龍は腹立たしげにタバコを揉み消した。


「そこはお前らが何とかするんだわさ。それが出来なきゃ、また修行の日々だわさ」


 萌えリンはオレンジ色に輝いて、楽しそうにピョンピョンと跳ねた。


「それだけは御免だ。修行なんてまっぴらだ!」


< 75 / 127 >

この作品をシェア

pagetop