《改稿中》V系霊媒師「咲邪」†SAKUYA†《改稿中》
 リハーサルにも関わらず『カシカシ』のメンバーは、まさに鬼気迫る様相を見せている。


「しかしぃ。実際演奏を見聞きするとぉ、確かに凄い迫力だぁぁ」


 煙草の灰を落とすことも忘れて、覇龍はステージから目を離せないでいる。


「それがあのドラムの力か彼らの実力か解らないけど、確かにこれがCDになって流通したらマズイわね」


 咲邪もそう負け惜しみを言わずには居られなかった。

───────


「お疲れ様ぁ〜」


「お疲れっしたぁ」


「良かったわよぉ、カシカシさんっ」


「有り難うございます、クロレトさんも最高っすよ。ツーバスにしたんすか?」


「ああ、ちょっとカシカシさんにインスパイアされちゃってねっ」


「そうっすか! 嬉しいっす! 本番も頑張って下さい」


「カシカシさんもねっ」


 舞台袖で彼らと言葉を交わすが、とても鬼に取り憑かれた人物達には思えない。咲邪達は楽屋に入って顔を見合せた。


「萌えリン。居るのかぁ? 奴らあんなに普通だぜぇ?」


「ほんと、何かの間違いじゃないの?」


「バスドラムの音に依って力を得るんだわさ。普段は霊力を養う為にナリを潜めてるのさ」


 斬汰の灯したライターの炎が大きくなって萌えリンに変わる。


「アジッ! 出た、人魂だ」


「斬汰っ! いや、一刻を争うから、今回は見逃してやるべさ」


 炎の攻撃を避けようと身構えていた斬汰は、萌えリンから肩透かしを喰らってよろけている。


「覇龍。結界を張って定吉サダキチを呼ぶのさ。そしてドラムをすり替えれば、奴らにバレないべさ」


 守護霊である『博徒の定吉』は少しの間だけ時間を操る事が出来るのだ。


「おう、そうかぁ。イカサマ(結界外の時間を止める霊術)を使うんだなぁ?」


「そうと決まればすぐ行動ねっ」


 咲邪が覇龍のギターケースを持ってきた。


「よおし、行くぞぉ。オンキリキリセンダリマトウギソワカァァ」


< 78 / 127 >

この作品をシェア

pagetop