《改稿中》V系霊媒師「咲邪」†SAKUYA†《改稿中》
 ケースのポケットから取り出したタスキを掛け、ハチマキをぎゅっとしごくと、覇龍は霊毛で出来た筆を振りかざした。

その筆先から紡ぎ出される梵字達は、風に舞う花びらのようにステージ上を埋めていく。


「咲邪、斬汰っ! ステージへ上がれぇ」


「ほい、了解だ」「解ったわ………さぁまんだ………」


 咲邪は真言を唱えながらスカーフの中に印を結んでいる。既に降霊を始めているのだ。


「オンキリキリセンダリマトウギソワカ、オンキリキリセンダリマトウギソワカァァ」


 覇龍もステージに上がり、尚も真言を唱え続ける。



  ビシビシビシィッ!



 咲邪のテディベアが放電に打たれて痙攣すると、結界は完成した。


「よぉっ、おめえら、随分と久方振りじゃあねぇかいっ」


 まっ黒に変色したぬいぐるみは、半身を乗り出してイナセに鼻をすすり上げる。


「定吉、話は後よ? イカサマを使って!」


 咲邪は有無を言わせず顎で定吉を促した。


「てやんでぃ、こんちくしょうめ! ソリャッ!」


 ゆっくり挨拶も出来ずにこき使われるのが面白くない定吉は、半ばヤケ気味に両手を振りかざした。すると結界の空気がピンク色に染まる。


「おう! これでどうでぃ! イカサマし放題だろうよ」


 結界の外の世界はモノクロになり、時を刻むのをやめた。


「有り難う定吉。助かるわ!」


 咲邪達は(主に肉体労働で活躍しているのは斬汰だが)いそいそとドラムセットを組み換える。覇龍がドラムケースに封印の呪符を貼り付け、その中にしっかりとバスドラをしまい込んだ。


「よぉぉしこれでぇ、準備はぁぁ、いいぞぉぉ」


 覇龍の呪符に依り『音魂』はドラムケースに封じ込められた。だがまだ完全ではない。音魂の拠り所であるバスドラを破壊しなければならない。


「お前達は出来るだけ下がってるんだ。ぬぬん!」


 斬汰の手のひらが霊炎をまとって巨大化する。


「浄掌ジョウショウ!!」


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