《改稿中》V系霊媒師「咲邪」†SAKUYA†《改稿中》
「ホントに凄いわっ、昨日もこんなだったっけ? でもこのテクニック、あのバスドラの所為じゃ無かったって事ね」


 怨念の宿ったバスドラムは、斬汰の浄掌に依って叩き伏せられた。今カシカシの彼が叩いているのは、かいチョンが買ってきたバスドラムだ。


「ギャァァァァ! ギャァァァァ!!」


 『鬼の子』達は益々ヒートアップして、頭を振り乱しながら絶叫している。


「そういう事になるなぁ。ファンの子達もぉぉ、凄い盛り上がりだしぃぃ」


「でもまだ彼女らは餓鬼のままなんだ。だからだ」


「そうよ。ホラあの目、ヤバイわよ!」


 鬼の子達がステージに向けている表情は般若その物だ。更に激しさを増してカシカシの演奏は続く。



  ズズッ ズズッ ジャラチャチャ ズズッ ズズッ ドコタッドォン



「ギャァァァァッ! ギャギャァァァァ!」


 鬼の子達がワラワラとステージに群がり始め、あろうことか次々にメンバー達を取り囲んだ。カシカシのメンバーは恍惚の表情を浮かべ、鬼の子達のなすがままになっている。


「マズイわよ覇龍さん、結界をっ!」


 鬼の子達がメンバー達に縋り付き、衣装の上からかじり出したのを見兼ねて、咲邪が覇龍を促す。


「ヨシ解ったぁ」


 支度を整えると覇龍は筆を持ち、空間へサラサラと梵字を書き放った。


「また定吉を呼ばなきゃ」


 咲邪はスカーフの中で印を組み、真言を唱える。



  ズズッ ズズッ ジャラチャチャ ズズッ ズズッ ドコドコドコタタン スタタン



「のぉまくさぁまんだぁ…………はりたやうんっ……喝っ」


 山のような梵字がライブハウス内を囲うのと、定吉がテディベアに降りたのは殆ど同時だった。



  ビジジジジィィィッ



 テディベアは放電しながら痙攣し、茶色く薄汚れた毛並みは黒々とした光沢の有る毛に生え変わった。


「てやんでい、コンチキショウめ」


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