スイート・プロポーズ
立ち上がったまま動かずにいる円花に、心配するような声がかけられた。
「どうかしたか?」
「部長・・・・・・あ、頼まれてた仕事、終わりました」
綴じ終えた書類を渡し、夏目が目の前で確認していく。
「・・・・・・大丈夫そうだ。助かった」
「いえ」
夏目がデスクへ戻るのを見送りながら、円花はどうやって切り出すべきか悩む。
(いきなり言うのは失礼よね。前置き・・・・・・えっと・・・・・・)
「唸ってるぞ、小宮」
「え? あ・・・・・・すみません」
気づかない内に、唸っていたようだ。
「変に繕う必要はない。どんな答えを出されても、態度を変えるつもりはないからな」
「部長・・・・・・」
円花はゆっくりと深呼吸をして、夏目を見た。
「今の私は、部長が思ってくれている気持ちの半分も、部長の事を思えていません」