スイート・プロポーズ
「あぁ」
「その、失礼な話なんですが、部長に告白された当初は、断るつもりでいたんです」
「そうか」
夏目の相槌は、とても優しい。
円花は徐々に、緊張が和らいでいた。
そう、今のこの雰囲気は好き。
朝のオフィスと似ているけれど、少しだけ違う。
「部長が私を好きだと言ってくれた理由を聞いて、その気持ちが揺れたんです。現金ですよね」
「俺の気持ちが、そこまで本気じゃないと思っていたからだろ?」
「そう、ですね」
自分を真摯に思ってくれている。
それを知って、気持ちが揺れた。
ちゃんと真剣に考えず答えを出そうとした自分を恥じた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
黙る円花を、夏目は急かしたりしない。